フェミニズムへの逆恨み。

  13, 2015 10:30
  •  -
  •  -

1970年前後に生まれた人は、高卒で事務員になっていれば、バブル全盛期にお給料を得て、たいへん良い思いができた可能性がありました。

「でも母親の見栄で大学へ行かされたから損をした。やおいになっちゃった」なんて恨みを抱えている人もあるようです。

若い女性が、母親への反感から、おなじ道を歩むことを拒否して男性化を望み、いわゆるBLに夢中になる。

当時はBLといわずに「やおい」と称していたんですが、これを学者が唱えたのを、そのまま真に受けて、きれいに自意識にしてしまった人もあるらしく思われます。

もともと学究肌でなければ、そのような学説を批判的に咀嚼することもないでしょうし(つまり鵜呑みにするでしょうし)、あまり深く考えずに他人の書いたものを真似して、誘われるままに即売会というところへ出品し、バブル時代らしい売上金を手にしてホクホクというのはありそうな話です。

当時、じっさいに高卒で就職し、そのお給料を自費出版に注ぎこむことのできた「同人」は、ほんとうに豪華な個人誌を出展し、実費を回収して余りある収益を得て、わが世の春を満喫したのかもしれません。

でも、大学生がその真似をして、学業をおろそかにするべきではなかったというのが本当の話です。

【研究者仲間がいない。】

高校時代の友人がOLになって、仕事は忙しいけれども、勤務時間が終わってしまえば、もう宿題もないのだから、好きなだけ創作できる。

それをうらやましがって、真似して原稿に夢中になり、大学の勉強をおろそかにすれば、大学の友達は一人もいないということになります。

読み書きが得意なら文系だったはずですが、研究者や弁護士や教員、福祉課や防災課の自治体職員になって、明日を考える人々のなかには、友達が一人もいないという人生になります。

【ジェンダー論の恩恵。】

その後、男女雇用機会均等法が強化されて、派遣社員を数年使ったら正採用することになったので、その手前で契約を打ちきられてしまうということが起きた。

もともと「女の時代」などと言われて大学へ行ったから就職活動に乗り遅れて氷河期にひっかかって派遣になっちゃったのに、何もかもフェミニズムのせいだ……

逆恨みを抱え続ける人もあるようです。

並行して、フェミニズム系の学者が「やおい」という現象について様々な解釈を発表し、あること無いこと言い立てて、創作当事者は迷惑させられたので、同人の中には今なおフェミニズムを毛嫌いする向きもあるようです。

でも、やっぱり女性が「BLはジェンダー論とかじゃなくて単なるビジネスよ」と言うことはできません。

その、女性が男性と対等な立場でビジネスに参加できることが、すでに女性解放運動が成功している証拠だからです。

女性は生まれつき頭が悪くて卑劣だから、社会へ出るには相応しくなく、家事労働が適任である。

これを「文化的に規定された性」として、そのような先入観は撤廃することが可能だと主張するジェンダー論が、女性の社会進出に大きく道を開いたことは、やっぱり認めなければならないだろうと思います。

BLが「ビジネス」として成り立つのも、それを買うお金を持っている女性が大勢いるからです。つまり女性の就業が前提になっているのです。

が、自分が親がかりだった「やおい少女」は、それを忘れているということがあります。

赤松良子たちは敗戦後の混乱期に女学校から新制大学へ入りなおしたという例外的な才女たちでした。

それが育児と仕事を両立すべく、他の男よりも女よりも何倍も忙しく働いても、出世させてもらえない。その無念あっての均等法でした。

でも、1980年代に「ウーマンリブ」を当たり前と思って成長したなかには、先輩の苦労を知らない子どももいた。

恩恵を恩恵と思わずに、学校へ行かされ続けることが面白くないから、親からの仕送りを流用して、わざと悪いことをするといった道に踏み込んだ。まさにあぶく銭を手にしたが、人生を長い目で見ると、それなりの結果が出た。

そういう「甘え」の要素が、アニパロ同人という活動には、やっぱりあったのです。

Related Entries