記事一覧

同人が「やおい」という言葉で本当に隠蔽したかったこと。


もし、この国で特定の種類の創作物を発行すれば令状なしで逮捕される。裁判なしで死刑にされるということだったら?

発行した人は徹底的に隠すでしょう。「山なし落ちなし」とも言わないはずです。

それを裏取引する会場の様子が子どもの口から漏れては困るので、「妹がついて来ちゃった」などという参加者がいれば、自分自身が仲間から村八分にされるはずです。

つまり「男同士だからヤバイ」などと言いながら子どもに売っていられる内は、たいした問題ではないってことです。

ということは、「表現テーマが男同士であるから隠す必要がある」という建前を隠れみのに、本当に隠蔽すべき要素が他にあったということです。

まだ一般社会がアニメを理解しなかった1970年代、あえてテレビアニメ番組を手がけた人々の中には、強い個性を発揮する「ワンマン」なプロデューサーがいました。

彼の一存でファンアートが瞬殺される可能性は、ゼロではなかった。

じつは1980年代前半までは、女性同人の間に「絶対にホモという言葉を使うな。本物を怒らせるな」という声があったものです。

いま思えば、これも「権利者」を恐れるという二次系同人の基本姿勢を示していたのかもしれません。

【勘違いの発生。】

何度か申しましたが、本当に竹宮恵子に準拠して、オリジナルの少年物語を描いた場合は、出版社へ投稿してプロデビューすることができました。それを自分から「ヤバイ」とか「駄作だ」とか言ってはいけません。せっかく認めてくださった出版社、手間ひまかけて下さった印刷所・小売店を愚弄することにもなります。

プロであれば決して言わないことを、なぜアマチュアが言うのか?

本当に隠蔽すべきは、少年同士という要素ではなかったからです。

でも、1985年頃に誤解が生じました。漫画を原作に持つアニメ番組による二次創作が大流行したからです。その権利者は(根本的には)原作漫画家ということになります。

二次創作のほうも漫画の形を取る限り「漫画の練習をしている」といえば言い訳が立つ。だから権利上の問題が克服されたと思い込んだ。そのぶん、読者に向かって山も落ちもないと注意勧告しなければならない点は「ホモ」だと勘違いしたのです。サッカーアニメが放映開始された1983年以降のことしか知らない中学生たちが。

【代表になれない。】

じつは、権利問題については、原作者ときっちり話し合うこともできます。

1980年の時点で、コミケ初開催の1975年に高校生だった人が成人しているのですから、「成人による表現の自由を認めてもらいたい」という話をしてもいいのです。政治家に向かって法律の改訂を求めたっていいです。

でも、同人誌即売会というところは、もともと「コミックマーケット」です。つまり漫画市場です。そこは一度もアニパロ小説の出品を奨励していないのです。

アニメファン、またはアニメファンを利用してやろうと思った小説同人が、まったく勝手なことをしたのです。漫画市場の軒先を借りて、「申し訳ありません」という顔をしていなければならなかったのです。

それがコミケの代表として原作漫画家に直談判を申し込む・国会へ乗り込むということはできない。

さらに「漫パロ」ではなく「アニパロ」である以上、アニメ番組を愚弄されたものとして、テレビ局が原告になることもできるのです。

もちろん、それに対して小説同人がコミケを代表することもできません。

ここまで来て「でも漫画編集部が私たちを庇ってくれる」という人は、話が分かっていません。

アニパロ小説同人というのは、コミケの中には「いない約束」になっているのです。

だから、TPPの時にも黙っていたのです。自分の権利を主張することができないのです。

まちがって「金目」などと騒げば、即売会全体に迷惑がかかり、結果的に自分たち自身が参加禁止にされる恐れさえあるのです。

漫画市場を「場」として利用したアニパロ小説同人というのは、そのくらいダメな存在なのです。

これをトランスゲイといえば、トランスゲイが激怒します。摂食障害と同じといえば、摂食障害に悩むご家庭が激怒します。ノンセクシュアルといえば本物のノンセクシュアルが怒るでしょう。

百歩ゆずって、個人の資格で「アニメキャラクターを愛する心を理解してください。せっかく書いたので発表の機会をください」と訴える権利はあります。憲法上、国民は何を主張しても良いのです。

でも「コミケ」が話題になっている時(または他人がインターネットの話をしているのに、わざわざ自分からコミケの内情を暴露したい時)は、アニパロ小説同人が勘違いして威張ってはいけません。



Related Entries

SEARCH

Profile & Caution

Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部勘違い同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。