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悪役を描いて娯楽にすることを認めるかどうかという話。

重要なのは、BLが描いているのが、もともと男性ホモソーシャルの恥部であり、黒歴史であることです。それを男性自身が「衆道の契り」と称して美化して描写して来たのを、女性が発見して、自分の娯楽として再生産したものです。だから「エロが目的だから文学とは無関係よ」ではないのです。歴史は二者択一ではなく継続しているのです。ベルリンの壁が崩壊して、そろそろ30年になりますから、マルクス主義的段階的発展論の呪縛から...

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1990年代に成人指定しても困らなかったのです。

1980年代を通じて、十代の少女として、BL専門誌の草分け『JUNE』を初出とする単行本の売れ行きを支えた購読者は、1995年の時点で、全員が成人していました。最年少者は1995年に満18歳を迎えたばかりの人で、1977年生まれ。1980年代最後の年である1989年には12歳。『JUNE』はほぼ小説専門誌だったので、このへんが購読者の下限でしょう。したがって、1990年代に入って「少女のうちから読ませるな」とクレームされたなら、すみやか...

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同人のものは、同人に返しなさい。

純文学の批評は、作者自身のリアリティと関連づけて「この頃の漱石は大病をした直後だったので」とか「この当時の鴎外は離婚の直後だったので」とか言うものです。が、漫画専門の商業誌というのは、娯楽を目的にした工業製品の一種で、発行部数が多いですから、社会学の材料になりやすいのです。「現代の若者はこういうものを娯楽と考える。昔とはずいぶん変わった。それはなぜかというと教育の質が……」というように。また「次は何...

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その愛が、禁断なわけ。

きみは、ベートーヴェンが好きか。音楽に関心があるのか。よかったら詳しく教えてあげよう。母上にお許しを頂いて、妹たちから離れて、私の部屋に来ないか。こう見えても、私は自分の国では少しは知られた音楽家なのだよ……それは、一線を越えてはならない愛。自分の立場を間違えてはいけない愛。彼の名誉のために。自分の魂のために。1978年に創刊されたBL専門商業誌の草分け『JUNE』が主題にしていたのは、端的には1971年10月日...

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男性向け男性ナルシシズムと、女性の着眼点。

『伊豆の踊り子』でも『こころ』でも『人生劇場』でも『青春の門』でもいいですが、中年男性が昔を思い出しながら現在の自分と同年輩の男性に読んでもらうつもりで書いた小説というのは、その主人公が作家自身を素直に反映しているもので、第一行に「生まれた時から美少年で、女にもててもてて困る」とは書いてないですね。どこで生まれて、どこの小学校を卒業して、現在は駒場の学生だとか、夏休みだから海水浴に来たとか身の上話...

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1978年の雑誌の復権と、少々の脱線。

戦前に東京・山の手のお嬢さんたちに人気があった商業誌『少女の友』は、たいへん先進的な内容を持っていたのですが、だんだん軍部の指導に従わざるを得なくなりました。だから戦後の人々は「戦前の少女雑誌に見るべきものはない」と思っていた時代が長かったようです。その再評価が遠藤寛子によって始まったのは1995年。2000年前後に表紙画を担当していた中原淳一の原画展が3回に渡って開催されたそうです。意外なほど、最近なの...

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Misha

Author:Misha
スマホ時代にさからう評論系長文ブログ。冷静に通読できる大人の読者様を想定しています。

「若い人」に直接呼びかける文章は、18歳以上のヤングアダルト対象です。高校生は受験を最優先してください。

書く人は、新旧とりまぜて映画とアニメを見ながら文芸書に取りくんでみたり、昔の漫画を思い出したり、お国の先行きを心配したりしております。

記事中の色つき文字は、映画中の台詞・挿入歌からの引用です。あらすじは、あまり申しませんので、楽しみに御覧ください。取り上げる作品は、暴力・エロスなど特殊な要素を含んでいることもあります。

ときおり、耽美・BL・同人・LGBTに言及します。いずれの分野からも、偏見と差別と自虐がなくなるといいと思っております。

「二次創作の責任を二十四年組に押しつけるな」「実在同性愛者に甘えるな」が基調です。

全体として、二十四年組ファンが社会学者に物申すという珍しい構図。一部同人を叱責することによって全体を守るという意図もあり、ときにかなり辛口です。

記事は時々予告なく手直し・削除・分割しております。保存は個人的閲覧の範囲で、お早めに御随意に。転載・改変利用は固くお断り申し上げます。

解題


Casketとは、玉手箱。

でも検索すると棺桶がならびます。来世まで持っていきたい好きな作品の記録帳とご理解ください。