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文芸 1/2

『源氏将軍神話の誕生―襲う義経、奪う頼朝』 (NHKブックス)

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ソフトカバーですが、一次資料と先達の研究成果に丁寧に言及した力作です。前半は、清和源氏の一分派にすぎなかった河内の武士団が、奥州討伐(という名の一方的な侵略)の成功によって武威を高め、武神・応神天皇(=八幡神)を祖神とするパフォーマンスを繰り返し披露することで、皇孫の血統を誇示しつつ、八幡神の娘とされた「若宮」をまつる渡来系職能民の心を掌握し、朝廷に対して大きな対抗勢力になっていく様子。後半は、頼...

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牧島貞一『ミッドウェー海戦』を読んで、スペースオペラなど思う。

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空母赤城の中の様子が面白かった。...

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反応するホームズ先生が面白い。

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今日は『四つの署名』♪ドルリー・レーンにも神津恭介にも、ついでに神恭一郎にも、彼らの活躍を伝える語り手である友人というのはいるんだけど、彼ら自身はいつでもクールで知的だ。ホームズ大先生だけが、ワトスンの一語一語に反応し、赤くなってみたり、ふてくされてみたり、ムキになって反論してみたり、知恵だめしに乗ってみたり、調子にのりすぎてみたりする。またそれをワトスンがいちいち真摯に受け止めて、「こいつ背負っ...

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川勝平太『文明の海洋史観』

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中央公論社、1997年11月初版、1998年11月6版。 1年で6刷!? Σ(゚д゚lll)駿河湾を見おろす山間で、蝉の声を聞きながらユルッと一気読み。今回も泣けました。いま正にこの筆者が「富国有徳」をかかげて太平洋沿いの海洋県にあって、県政の要にいてくれることに改めて感動し、感謝しつつ、膨大な引用と多岐にわたる博識に呆然としつつ。文体が論文らしくなりました。「起の章」はNHKブックス『日本文明と近代西洋』の第1部の復習の...

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紙の本のいいところ。

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ほかに目移りしないことと、目の前に「物」として在ることですね・・・・・・...

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『経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書』 山田 真哉

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面白かった!(*´∀`*)タイトルが「清盛の成功の秘密」ではなく「失敗」であるところがニクイ。『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』の歴史学科出身の会計士さんが書いた、清盛の経済政策。その先見性、本質的にはらんでいた矛盾、それによる栄達と滅亡。「モノ」の価値は、それを使う文化によって変わる。政治権力の駆け引きを叙述する歴史観だけでは説明しきれない藪の中へ会計士の足で踏み入って、キラキラ光る玉を拾い上げ、「ほ...

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「スガちゃんのコロッケのレシピがほしい」

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今ごろ『怪盗アマリリス』を読みました。コミックスの初版発行は平成3年。その時点でもすでに古臭い企画だったはずだけど、さすがに手馴れているなと感心しつつ第1巻を読破。つづく第2巻のネタばれというか楽屋落ちで吹きましたwアマリリス……いや、花の絵を印刷したカードを残すとかでもいいと思うよ……。花の名を冠する少女怪盗、というイメージに陶酔したあまりの不手際にあわてる男性作家の可愛らしさにほっこり。「コメディ...

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【女の子は『こころ』を読むと嫁に行きたくなくなるのだ】

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夏目漱石『こころ』の先生が「子供ができないのは当たり前だ」と引きつったように笑うのはなぜか。夫人が寂しそうなのは何故か。夜の夫婦生活がうまくいっていない。彼はクローゼット・ゲイだったのではないかという見方もあるが、単に友人への罪悪感から男性機能を喪失したと思えばいいだろう。夫人としては、娘盛りのいちばん魅力的な年頃に望まれて結婚したはずだから、夫婦の間でとうぜん起こるべきことが、なぜ起こらないのか...

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【男の子は桜桃を読むと結婚したくなくなるのだ】

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誰が好きこのんで「俺も早く嫁さんから強烈な嫌味を言われてみたいな」「そして居たたまれなくなって、家を飛び出したりしたいな」と思うものか。文筆家というのは、武闘派ではない。社会や自分自身に不満があっても、火炎瓶を投げたりする代わりに、ペンを執る。日本の純文学は、彼らによる自画自賛だから、弱い男を描いた物語を称揚する。それを読んで、どこの若い衆が「俺も家族を支える強い男になるぜ!」と思うのか。現状では...

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【栗本薫『絃の聖域』】

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昭和55(1980)年初版であるから、すでに1970年代末までに「耽美」的な要素が読書子に受け入れられることの自信を(講談社編集部が)得た上で、波に乗って登場している。栗本薫の功績は、非現実的な存在である「たおやかな美少年」を自分の筆で描き出したいという耽美的な動機を基盤としながらも、その上に本格ミステリや、パゾリーニそこのけの古代ファンタジーを構築できることを示した点にある。ちゃんとしたミステリが書ける人...

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【柳広司『ジョーカー・ゲーム』】

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あるんでしょう? やるんでしょう?赤い唇の微笑み。部分から全体のつながりを暗示する叙述上の技法としても、読者の脳内イメージとしても、いいですな。 平成23年の文庫版。カバー絵で白手袋を着用した軍装姿の人物がふんぞり返ってますが、結城中佐は軍人と分かる格好はしないんじゃないのか。カバー絵アーティストと、どういう連絡とってるんでしょう……女性の起用は嬉しいことで、中味も活字が大きく読みやすいだけに惜しい、...

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【福島次郎 『バスタオル』】

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冒頭、少年美描写の格調高さと、情念の深さに卒倒しかかる。文章はリズミカルかつ味わい深い。主人公の焦燥感を吐露する誠実さが、取り澄ました三島とはふた味ちがう。帯の煽り文句は「性を超えた!」……いや、超えてはいない。性の話題そのものだ。男色者に特有の悩みを赤裸々に語っている。が、編集者の言いたいことは「同性愛者と異性愛者、男と女の垣根を越えて、この切なさは誰でも理解できるはずですから、一度読んでみてくだ...

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【禁色と、恋人たちの森。】

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三島由紀夫は、少なくともゲイコミュニティの人間ではなかった。仲間意識があれば、貴重な出会いの場となっている喫茶店の内情について、暴露するはずがないからだ。興味本位で店へ押しかけ「二階を見せてくれ」と申し出る一般読者、潜入取材を試みる雑誌記者、見過ごしにできなくなって家宅捜索に踏み切る警察……仲間の大迷惑は、いろいろと考えられる。そりゃ店主も怒る。彼は銀座に集うゲイを「男の魅力をよく知っている男色者も...

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【三浦しをん『風が強く吹いている』】

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「○○高校の△△くんと見込んで、お頼み申す。俺の再起にちからを貸してくれ」ひとかどの人物が、いさぎよく三顧の礼を執れば、執られたほうはその人柄に感じ入って、一生の尽力を約束する。これが男の美学ってものだ。本来の目的を隠して友達になったというのでは、まるで財産があることを知って近づいた結婚詐欺師だ。それが土壇場で口を割るのは「弱気になっている」からではあるが、じつは「人を騙した」という心の重荷を降ろし、...

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【柳広司『ジョーカーゲーム』と『ロマンス』】

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柳(以下敬称略)は、キャラクター造形のうまい人で、ちょっと漫画家みたいな素質を持った人だと思う。たぶん漫画を読むことも好きなのだろうと思う。ミステリーとしては、あまり凝った仕掛けではない。犯罪動機はメロドラマだ。彼の筆の冴えるところは、自らを恃むところ大な独身男性の心理描写である。ホームズの偏屈ぶりを活写するワトソン自身も面白い男だったが、彼は人生の岐路に立たされることがなかった。D機関の伝記作者...

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【ゲイリー・P・リュープ『男色の日本史』作品社】

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ニッチな研究書を書評欄に取り上げる静岡新聞に拍手を。11月23日掲載の書評そのものがすばらしかったので、「書評の書評」です。社会学者(雑賀恵子)による発刊意義の分析が見事です。冷静な研究書であるにもかかわらず、この話題で出版すること自体に困難があること、そのような同性愛忌避は近代化の過程で設定されたものに過ぎないことを、的確に指摘しています。やや刺激的な画像が表紙絵として掲げられていますが、扇情的な読...

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【2001年筑摩書房、吉村 昭『東京の戦争』】

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たしか小津映画『晩春』が昭和24年の作品で、開戦前と変わらぬ落ち着いた暮らしぶりや、美術展や音楽界が催されたりしている様子が描写されていました。電車の中は、すでに整然としており、銀座には輪タクの姿はなかったと思います。ヒロインの父親は、闇食料の買出しを過去のこととして語っていました。復員局は戦後2年間ほどで閉鎖され、もう復員してくる人もないと思われた頃に、やっと佐清が帰ってきた……というところから始ま...

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【弘文堂アテネ文庫1、久松眞一『茶の精神』】

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京都大学宗教学専攻教授(当時)による、国際茶道文化協会講演、および昭和二十三年における座談の記録。声に出して読みたい日本語です。戦前に教育を受けた人の文章は美しいです。水琴窟の響きに耳を澄ます思いです。アテネ文庫は、いまだ物資不足に喘ぐ昭和二十三年、A判全紙一枚を文庫サイズに裁断すると64頁になることをもって、64頁の薄い本としてスタートしたのだそうで、その平成二十二年における復刻版の第一号です。当時...

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【弘文堂アテネ文庫38、石田英一郎『一寸法師』】

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学術書というのは大冊で、値段も高く、なかなか一般人が「仕事帰りにちょっと買っていこう」とか、「ちょっと読んでみよう」とは思わないものです。が、中身の半分以上は引用元の注記や注釈で、肝心の著者の主張は、じっさいこのくらいの頁数に収まってしまったりするものです。学術書として首尾ととのえれば大変に重い内容を、一般教養として安価に広めたアテネ文庫の意義は、真に尊いものだったと存じます。本朝一寸法師とは何も...

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【ネットと文学① ~インターネットは大きな掲示板だと思われている。】

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間違いじゃないんですが……。「SNS」というべきところで「インターネット」という語に代理させている、という例は多いような気がします。「ブログ、インターネットで大人気!」という文章を見た時には「ブログはインターネットじゃないのか」と心の中でつっこまざるを得ません。「インターネットで流される情報は、文学とは違う」とか読んだときには「HTML文書として公開された創作物や、PDF文書として公開された研究論文の立場...

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【ネットと文学② ~インターネットが流行ってるんじゃないです。】

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スマホが普及した、のです。故障しにくく、携帯性にすぐれた個人用コンピュータ(の一種)である「スマホ」の普及によって、インターネットまたはワールドワイドウェブを利用しやすくなったのです。パソコン通信の時代はもちろん、ウィンドウズ機の普及し始めた頃にも、インターネットはパソコンそのものに詳しいマニアのものだったはずです。フリーズ、青画面に冷静に対応できる人。ダウンロード、ファイル変換など全て自分でやら...

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【ネットと文学③ ~ネットに文芸を乗せる方法。】

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当然ながら次の議題は「文学をいかにインターネットに乗せるか?」のはずです。若い人にスマホを禁止するんじゃないです。ネットサーフィンを禁止するんじゃなくて、ネットサーフィンが快適になるサービスを開発しよう、って発想と同じです。【読んでもらうには。】若い人を、動画サイトやゲームサイトから、文芸サイトへ引っ張ってくるにはどうしたら良いか?いわゆる「萌えキャラ」または「ゆるキャラ」の力を借りるべきか?ある...

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【吉本隆明『私の「戦争論」』1999年、ぶんか社】

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ひじょうに気持ちの良い本です。言いも言ったり。上野千鶴子も石原慎太郎もバッサリ斬られています。ご本人たちが痛いとか痒いとか思うかどうかは分かりませんが。政府批判も歯切れよく、242頁の冗談には「ブラヴォ!」と叫びたくなります。他にも全頁を引用したいくらいですが、そうも参りません。インタビュアーによる「あとがき」まで含めて、270頁で1600円は安い本ではないですが、戦後史を概観するハンドブックとして、一冊持...

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【吉本隆明 『西行論』】

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講談社文芸文庫、1990年2月第一刷。底本は、1987年大和書房刊『吉本隆明全集撰 6』。なかなか西行が出てこない西行論。まずは平安後期の宗教事情が概観されるので勉強になります。しかも西行自身は熱心な学僧というわけではなく、仏教理論にはそんなに詳しくなかったらしい、と来るのです。吉本自身が西行を理解するために当時の宗教観を知っておく必要があったわけです。「鳥羽院の中宮」とのことは、後世の物語作家によるフィ...

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【あと弔ひ給へ、御僧よ。】

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「学校の怪談」などの怖い話を読むと、「誰か坊さん呼んでやれよ」と思います。とくに「昔ここで事故があって」とか「戦争で大勢の人がなくなって」なんて話の時はですね。また、トイレや体育館の物置に子どもの霊が出るというのは、もう明らかにイジメが関わっているでしょう。宗派にもよるのかもしれませんが、お線香をあげるのは、お経をあげてもらって、なくなった人が“ほとけ様”になってからなのだそうです。まずはプロを呼び...

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明治20年、山田美妙『武蔵野』

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顔ハメ看板のなかに「寛一・お宮」がありましたが、尾崎紅葉や山田美妙がやっていたのも「同人誌」です。与謝野鉄幹や武者小路実篤がやっていたのも「同人誌」です。じつは、文豪って若いのです。現代人は大家となった彼らの風貌を写真で知っているだけなので、酸いも甘いも噛みわけたオッサンだと思いがちなのですが、じつは20歳くらいで「サークル」に参加して、小説を発表し始めたのです。で、これはいかにも若い人が書いたらし...

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昭和13年、堀辰雄『風立ちぬ』

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女は抱きしめてほしい。病気なんか怖くない、きみと一緒なら死ねるといって、貫いてほしい。夫婦なんですから。でも彼にはできない。同じ部屋にいるのに指一本ふれない。彼女も無理強いはしない。だからジッと見つめている。男は「怖い」という本音を見透かされているのが分かっている。そうかといって逃げ出すわけでもない。仕事があるなどといって都会へ帰ってしまうわけではない。ずるい男なんだけど、悪い男ではない。彼を選ん...

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2005年、辻村深月『凍りのくじら』

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氷の海から呼吸を求めて浮上と沈潜を繰り返す三頭の鯨。……という役者がそろうまでに280頁を要する大長編。これを手に取る読者は、主人公の「私、頭よすぎて友達いないんだーー」という述懐に苦笑できるでしょう。少しではなく、すごく書評しにくい作品で、だったらしなきゃいいのにと言われても、これは言いたい。読むべし読むべし読むべし。すでに発表から十年が経過していますが、この輝きはこのさき何十年経っても失われないで...

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芦沢父娘と松永純也。

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芦沢父娘と一緒に見る気分で『鬼岩城』のDVDを借りながら、「松永は?」と思いついたのです。彼と理帆子の間は奇妙によそよそしい。小さい頃から仲が良いというふうではない。幼い理帆子に「松永のおじちゃんにドラえもんごっこしてもらったーー♪」という記憶がない。彼はウィーンへ留学していたとか、ボストンで振っていたとかいう時期があったはずで、忙しかったには違いないんですが、娘が日本国内で育っていることを考える...

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柳 広司『ジョーカー・ゲーム』と『ロマンス』

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角川文庫『ジョーカー・ゲーム』のカバー絵には、陸軍の制服と長靴を着用し、白手袋をした人物が椅子にふんぞり返った姿が描かれていますが、担当者のミスです。作中には、「魔王」が軍人らしく見えるのを嫌うことが書かれています。五分刈り頭も、軍帽によって額の半分が日焼けしていないことも、軍服を着用することも嫌いです。カバー見返しに印刷された名前から察するに、画家も担当者も女性です。「いつも白手袋をしてる軍人な...

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