MISHA'S CASKET

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201610 1/2

1968年、マキノ雅弘『侠客列伝』東映京都

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もうなんにも言うな。でなきゃ、泣けそうなんだよ、俺ァ。脚本:棚田吾郎 撮影:鈴木重平 照明:中山治雄 美術:鈴木孝俊 音楽:木下忠司 助監督:原田隆司官報 刑法第百八十六條 常習トシテ博戯又ハ賭事ヲ為シタル者ハ三年以下ノ懲役ニ處ス。明治四十年、潮の香る小田原。精霊流しの頃。男同士の情念は闇に融けて、女の意気地は珊瑚色。女優も含めてオールスターの個性を十二分に活かしきって、木下音楽も冴え渡る、宝石箱...

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1968年11月、鈴木則文『緋牡丹博徒 一宿一飯』東映京都

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今さら紹介する必要もねェだろうが、矢野二代目、お龍さんだ!脚本:野上龍雄・鈴木則文 撮影:古谷伸 照明:増田悦章 美術:石原昭 音楽:渡辺岳夫 助監督:本田達男おまたせしましたッ(予告篇より)さっそく、お控えくだすって、ありがとうござんす。手前ことは九州は肥後、熊本は五木の生まれ、名前の儀は矢野龍子。通り名を緋牡丹のお龍と発します。ご視見のとおりの未熟者にござんす。いく末、お見知りおかれまして、末...

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1969年4月、小沢茂弘『緋牡丹博徒 二代目襲名』東映京都

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看板降ろしたかったら、一番景気の良か時に降ろせ。原作:火野葦平『女侠一代』より 脚本;鈴木則文 撮影:吉田貞次 音楽:木下忠司 助監督:本田達男 爆発的ヒットを続ける緋牡丹シリーズ第4弾(予告篇より)雄大な空撮から入ります。相変わらず主題歌があれですが、緋牡丹お龍(23歳)の名は、すでに一人歩きしているようです。筑豊本線開通の陰にあった、汗と血と涙の任侠ドラマ。石炭産業の隆盛を経糸に、やや複雑な対立...

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ゲイバーで、くだらない質問をしたのは誰ですか? ~偏見を解消するための、分離の試み

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副題をつけてみました。もともと当方の同人論・BL論の目的は、二十四年組などのプロ創作家・パロディ同人・新宿二丁目という行政区の名称に象徴されるゲイコミュニティを分離し、それぞれが偏見による(これ以上の)被害を受けることを防ぐことにあります。だから全ての記事は、結論が「新宿二丁目へ行くな」になります。正確にいうと、先方も客商売ですから、行ったっていいんですけれども、「余計な質問をするな」になります。...

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自意識過剰クレーマーの末路。~再発防止をめざして

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もともと「クレーム」とは自己主張という意味です。誰しも自由な表現の権利があって、どんな自己主張してもいいんですけれども、他人の都合を全く無視すると「目立ちたいために冷蔵ケースに入った写真をアップロードして逮捕される」といった犯罪者になってしまいます。つまり、やっていい自己主張と、悪い自己主張があるわけです。パロディ同人やっていた人が厳重注意しなければならないことは、自分の権利と他人の権利を混同する...

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本来ニュートラルな心理を自主規制するのです。

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BLというのは、既成の男性目線による理想的な女性像に無理して自分を合わせていくことに背を向けて、男性の価値観に束縛されない「戦略的撤退」ともいうべき生き方を選び取った女性が読むものだというのが、一つの定説になっています。したがって、いったんBLに移行した女性は少女漫画には戻らないという単線的発展段階論が無反省に前提されています。コミンテルン的「移行」神学がこんなところにまでッ。(フェミニストたちも...

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フェミニズム批評は社会学じゃないのです。~女流研究者の悲劇(かもしれない)

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社会学というのは、実社会における様々な要素の因果関係を明らかにする学問ですが、ろくに根拠もなく短絡すると、偏見と差別意識の発生源になってしまいます。なぜBL読者は女性キャラクターに感情移入できず、少女漫画が読めないことになっているのでしょうか?いったいどこの学者さんが、何万件のサンプルを解析して、BL読者と少女漫画読者の有意差を発見したのでしょうか?それとも、なんの根拠もなく偏見を広めるのが、日本...

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仁侠映画とBLの構造的類似。

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「いい男がいっぱい出てくる」という表面的な類似の話じゃないです。それは一目瞭然ですから、わざわざ指摘するのは、一見すると眼に見えない、構想過程における構造的類似です。また、当方の使う「BL」という単語は便宜的な総称です。詳しくはカテゴリ「閲覧前注意」先頭記事に、用語の確認があります。さて。まず、少女漫画を読めないからといって、BLを読む必要はありません。世の中には本当に性的な話題が苦手で、BLも読...

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1962年10月、井上梅次『暗黒街最後の日』東映東京

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よってたかって、俺の気持ちを細切れにしやァがる。脚本:井上梅次 撮影:西川庄衛 美術:進藤誠吾 音楽:鏑木創 助監督:加島昭これがギャング映画だ!!(予告篇より)善魔 vs. 侠客。鬼検事が追いつめるのは、株式会社の皮を着た戦後暴力団の内部抗争。一代を築いた男が見てしまった仲間の姿とは。『日本侠客伝 絶縁状』は、新しい時代に合わせて渡世人が姿を変えて行く過渡期のお話でしたが、こちらは、その行き着いた先...

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1965年9月、加藤泰『明治侠客伝 三代目襲名』東映京都

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原案:紙屋五平 脚本:村尾昭・鈴木則文 撮影:わし尾元也 音楽:菊池俊輔 助監督:鳥居元宏まさかの「藤山寛美を見る映画」でした。声を聴きながら「誰だ…?」と訝り、気づいた途端にいやもうビックリしたのなんのって。もしかしたらコメディ要素を狙っての起用だったのかもしれませんが、役者に底力があったので良い話になってしまいました。DVDパッケージは、やや看板に偽りありで、組員背負って紋服なぐり込みというお...

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1969年4月、山下耕作『戦後最大の賭場』東映京都

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わいらはしょせん、ばくち打ちですぜ。脚本:村尾昭 撮影:山岸長樹 照明:増田章 美術:富田治郎 音楽:斉藤一郎 助監督:牧口雄二 ナレーター:柳川清この物語の登場人物および設定はすべてフィクションである。珍しく断り書きが出る通り、硬質なナレーションを起用したリアルなニュース映画調から入ります。遠めに撮るカメラで大作風味。やがて対象を絞り込んで、構図とロケハンのセンスが燻し銀色に光る山下流ハードボイ...

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同人なら言わない。

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1980年代初頭以来、同人界は「絶対に本物を怒らせるな。ホモという言葉を使うな。新宿二丁目へ行くな」という約束を守っています。意外なようですが、本当です。ベテランなら知ってます。これは、同人が自分を守るための約束なので、同人やめた(コミケ出展を断念した)人は、もう守らなくていいということではありません。もともと、ゲイに対してたいへん失礼であり、彼らの心を傷つけることなので、同人ではない人もやってはいけ...

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ポット出版『「オカマ」は差別か』再考。

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伏見憲明主宰のトークライブは、すこたん企画(当時)に対する欠席裁判の意味を持ってしまっており、はたから見てもあんまり良い話じゃないのですが、伏見自身はよく分かっていて、参加者が攻撃的な気分にならないように笑いに紛らせているのです。ほんとは、それまでの間に一回もコミュニティ内部で話し合いができていなかったのが問題の根本で、コミュニティの全体責任なんですが、もとより「ホモ」自認の男性陣は「おかま、ゲイ...

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「男同士も正常だと認めろ」がクレームの真意です。

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差別とは「とくに現代において、あるものを、正当な理由なしに、他よりも低く扱うこと」(小学館国語大辞典1988年新装版)です。ゲイコミュニティからは、女性の創作物の中に「男同士は異常だ」という台詞があるのが許せんという苦情が寄せられたことがあるそうです。この場合は「男女は正常だ」に対して「男同士は異常だ」と云ってるわけです。正当な理由なしに男女関係よりも男男関係を低く扱っている。それに対して同性志向当事...

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ゲイは男性が苦手な女の子の仲間ではありません。

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彼らこそ男根至上主義者です。できるだけ逞しい男性とお付き合いしたい。だからこそ、DVの被害に遭う。確かに彼らも「社会全体に蔓延する男尊女卑の風潮には僕らも迷惑している」といい得る。だからといって、女性が「でしょ!? でしょ!?」と盛り上がれる相手ではありません。なぜなら、女性は「だから私はストレート男子と付き合うのがいやで、ここへ来たのよ!」と言うことができる。彼らには、逃げ場がありません。自分に嘘を...

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BLはビジネスだから気をつけましょう。

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女性は、自分でBLを発行するための出版社を立ち上げておりません。多くのBL雑誌・文庫の発行責任者として印刷されているのは男性の名前です。彼らは女性の自由を応援するためにBLを売ってやっているのではありません。「ビジネス」のためです。彼らは「やばい」と思った瞬間に、トカゲの尻尾切りするでしょう。ストレート男性が自分の身を守るための変わり身の早さは天才的です。彼らには「従業員を守る」という大義名分があ...

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1962年1月、黒澤明『椿三十郎』東宝

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間抜けな味方の刀は、敵の刀より危ねェ。原作:山本周五郎『日々平安』 脚本:菊島隆三・小國英雄・黒澤明 撮影:小泉福造・斉藤孝雄 美術:村木与四郎 照明:猪原一郎 音楽:佐藤勝 監督助手:森谷司郎 剣技指導:久世竜巻き込まれ型べらんめェヒーロー。どうしてこれが武士なのか。菊千代が立派になったもんだと思ったら、やっぱり菊千代でした。城代家老夫人にやりこめられる表情がたまりません。ああいうおばあちゃんに...

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1969年5月、マキノ雅弘『日本侠客伝 花と龍』東映京都

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人間、裸一貫。自分が正しいと思う道にまっすぐ進んで行きなィ。原作:火野葦平 脚本:棚田吾郎 撮影:飯村雅彦 照明:川崎保之丞 美術:藤田博 音楽:木下忠司 助監督:沢井信治 刺青絵師:毛利清二ここへ来て、いつにも増してマキノ雅弘らしい『花と龍』……って、あの『花と龍』? と思ったら、確かにそうでした。予告篇はハードな感じですが、本篇はたいへんマキノらしく、俯瞰的な背景に小さな人物を配した屏風絵のよう...

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1970年12月、山下耕作『日本侠客伝 昇り龍』東映京都

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あたし……、それを、貴男の体に残したい。原作:火野葦平 脚本:笠原和夫 撮影:吉田貞次 美術:鈴木孝俊 音楽:斉藤一郎 編集:宮本信太郎 助監督:本田達男胸が一杯でどこから書こう? というほどの傑作。ロケハンのセンスの良さ、仁侠映画では古今無双の野外撮影の美しさ、室内構図の芸術性、物語の再構成の手際の良さ。山下耕作ここにあり。必見。緊迫の賭場描写から始まって、全篇を通じて白粉濃い目の藤純子の美しい存...

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1971年4月、小沢茂弘『日本侠客伝 刃』東映京都

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アホにゃ勝てんわい。脚本:笠原和夫 撮影:吉田貞次 照明:増田悦章 美術:鈴木孝俊 音楽:津島利章 助監督:清水彰 はい注目。もう一回いいますが、刃と書いて「ドス」と読みます。せっかくなので完走記念に再見しました。小沢さんらしい喧嘩ッ早い男どもを立て続けに描く娯楽色ゆたかなアクション作品ですが、身分違いの悲恋という背骨が一本通っておりまして、中入り後は悲劇調が高まり、『侠客伝』の看板がなかったとし...

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1977年10月、野村芳太郎『八つ墓村』松竹

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八つ墓明神はお怒りじゃ!原作:横溝正史(角川文庫版) 脚本:橋本忍 撮影:川又昂 美術:森田郷平 音楽:芥川也寸志ロケハンの大勝利。撮影地は岩手県から沖縄まで。撮影期間1年余。上映時間約2時間半。ですが、市川昆の話法とは真逆というべきか、もうちょっと編集してもいいんじゃないかという部分もあるので、日本酒でも注ぎながら、おおらかに構えましょう。1977年というと、20代の観客は戦後生まれ。とくに団地育ちは...

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他人の言論を封殺する権利があるつもりですか? ~過激同人が落ちる表現の自由の罠

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世の中「ビジネスをジェンダー論で読み解くとどうなるか」という話が分からない人がいて困るのです。分からない人に限って、口を出したがるのです。けれども、どんな社会現象でも、事物でも、フェミニズム批評的に論じることもできるし、経済効果を測定することもできるし、文化人類学的に位置づけることもできるし、自然科学的に論じることさえできるのです。すなわち「BLの発生は生物学的必然性からは独立しているが、読んでい...

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若い人を偏見から解放するための話ですから、中高年の過去自慢は無用です。

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当方は、自分がいつBLに目覚めたかという自慢話をしているのではありません。自分より年下の男性たちが「女性の好奇心の被害に遭っている」と訴えているから、もともと女性の創作物は(鑑賞上の自己満足を志向したものであって)そのような迷惑行為を意図したものではありませんと、女性に向かってご説明申し上げているのです。ですから、こちらが1970年代の話をしているからといって、対抗意識に駆られて1980年代の話を始めなく...

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医師免許のない人に、心の治療師の称号を授与する意味。

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ミステリーに登場する名探偵というのは、正しい推理に基づいて、証拠を見つけちゃった素人です。創作上の警察は、間違った推理に基づいて、ありもしない証拠や、いもしない証人を探しているから捜査が行き詰まる。名探偵は警察手帳もなにも持っていないけれども、正しい推理に基づいて、まっすぐに犯人ゆかりの寺社を訪ね、ピンポイントで「昭和何年の台帳を見せてください」と指定することができる。それに基づいて犯人が自白する...

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女は女のまま、男を女に見立てるのです。~現象を学説に合わせて歪曲しないBL論の試み

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衝撃的な表題ですが、こう考えれば、BL(と呼ばれるようになった表現分野)に寄せられた疑問は、あらかた解決できるのです。なぜ女性が主人公ではないのか? なぜ(二次創作BLは)女子マネージャーを素材にしないのか?なぜ男性に憧れ、男性と同じスポーツがしたくて(二次創作)BLを描いているはずの人々の筆から、男性がどんどん女性化してしまい、スポーツせずに男役と女役に分かれて恋愛ばかりしているという表現が生ま...

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1978年~、栗本薫『グイン・サーガ』

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まさかの継続中。見捨てて終わりにしたくなかった人が大勢いたのは喜ばしいことです。今回は原作者によって書かれた部分だけを基にした考察。これは「基準をどこに取るか」によって評価が180度変わるのです。通常は「ヒロイックファンタジーだと思って読んでたら途中からお耽美ドージンシになっちまってダメだこりゃ」ですね。でも「もともと少女時代から三島由紀夫や森茉莉に親しみ、耽美ロマンに軸足を置いていた女流が、よくぞ...

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1985年、湯浅赳男『文明の歴史人類学』新評論

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副題:『アナール』・ブローデル・ウォーラーステイン歴史はコミュニストの神学であることを止めなければならない。(p.286)手元にあるのは1991年第5刷。このタイプの本で5刷なら売れたほうなのでしょう。冒頭引用文は「1985年にまだこんなこと言ってたのか」と驚かされるくらいでしょうが、言ってたのです。川勝平太も1984年の本で似たようなことを言ってたわけですが、逆にいえば、風が吹き始める時というのがあるもので、こ...

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1982年10月、森谷司郎『海峡』東宝

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人間の歩いたあとに、道はできる。原作:岩川隆(文藝春秋刊) 脚本:井出俊郎・森谷司郎 撮影:木村大作 美術:村木与四郎 音楽:南こうせつ 題字:西井林亭きみの祖国は日本と呼ばれ、水の惑星の水はときに岩盤をぶち抜き、男たちは首まで海水に浸かりながら、30年をかけて、世界最高のトンネルを掘りました。昭和57年度芸術祭参加作品。東宝創立50周年記念映画。スペースシャトルが飛ぶ時代。ごらん、あれが竜飛岬。北のは...

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1966年10月、降旗康男『地獄の掟に明日はない』東映東京

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きみは、それしかできないのか。企画:植木照男・矢部恒 脚本:高岩肇・長田紀生 撮影:林七郎 照明:大野忠三郎 美術:中村修一郎 音楽:八木正生 助監督:寺西国光タイトルは西村寿行みたいですが、荒唐無稽型ではなく、ロケハンを活かした情緒深い画面、センスの良い音楽、女優の持ち味を活かした辛口ロマンス、ハードかつ複雑な対立の構図、間合いを活かした繊細な心理描写、モンタージュ技の冴えと、まだ早い時点で既に...

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1968年、降旗康男『獄中の顔役』東映東京

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自分を大切にするんだぜ、自分を。企画:俊藤浩滋・吉田達 脚本:笠原和夫・高田宏治・鳥居元宏 撮影:星島一郎 音楽:伊部晴美 助監督:野田幸男1960年代娯楽映画の軽快な面白さがよく伝わる作品。1968年に10本の高倉出演作品が公開されたうちの、10本目(!)公開年よりちょっと昔を舞台に、素人さんを大量動員した降旗流リアリズムによる仁義なき現代劇。網走で鍛えた兄さんは、内地の獄中でも貫禄でした。タイトル通り、『...

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