MISHA'S CASKET

1934年10月、ゲツァ・フォン・ボルヴァリー『別れの曲』(Abschiedswalzer)

この闘いは、きみにしかできない。脚本:エルンスト・マリシュカ 撮影:ヴェルナー・ブランデス 音楽:アロイス・メリヒャーそれは革命の日。パリが比類なく輝く星を迎え、ジョルジュが彼を見出した日。ショパンがいた時代のパリ。女のスカートがクリノリンでふくらみ、男たちのケープもフリルを重ね、上流社交界が最も華やかだった時代。音楽の喜びと、映画の技巧と、コスチュームプレイの魅力と、それらがデジタル技術で鮮明に...

1944年3月、山本嘉次郎『加藤隼戦闘隊』東宝

俺はどんな困難に遭おうと、必ず帰って来る。脚本:山崎謙太・山本嘉次郎 撮影:三村明 音楽:鈴木静一 美術:松山宗 録音:樋口智久 照明:西川鶴三 特殊技術:円谷英二毎年思うんですが、現代日本男子の夏の制服として、防暑服を採用しませんか。長ズボンが暑そう……(それはともかく)撃ちてし止まむ。情報局選定国民映画。後援:陸軍省(右から書いていた時代)我らが皇軍戦闘隊。昭和16年4月から始まる飛行第六十四戦隊...

1957年7月、川島雄三『幕末太陽伝』日活

三千世界の烏を殺し。主と朝寝がしてみたい。製作:山本武 脚本:田中啓一・川島雄三・今村昌平 風俗考証:木村荘八 撮影:高村倉太郎 照明:大西美津男 録音:橋本文雄 美術:中村公彦・千葉一彦 編集:中村正 音楽:黛敏郎 助監督:今村昌平 特殊撮影:日活特殊技術部赤線廃止の前年に描く、めくるめく品川人生いろいろ模様。日活百周年記念デジタル修復事業。たいへんきれいなモノクロ撮影。ものすごい自覚的なハイテ...

1960年10月、岡本喜八『独立愚連隊西へ』東宝

今度はどーこーだー♪製作:田中友幸 脚本:関沢新一・岡本喜八 原作:蓮本修『武器なき戦場』より 撮影:逢沢譲 美術:阿久根巌 録音:渡会伸・下永尚 照明:猪原一郎 音楽:佐藤勝 さすが東宝さんは軍隊をよく知っていると申すべきか。西部劇と女が大好きな岡本さんが今日もスッ飛ばします。佐藤音楽も絶好調。わっしょい。現在では不適切とされる表現が小だくさん含まれますが、そこはそれそれ、オリジナリティを尊重し...

1963年4月、野村芳太郎『拝啓天皇陛下様』松竹

学を修めるということは、人間が正しく生きる道を学ぶことである。製作:白井昌夫 原作:棟田博 脚本:野村芳太郎・多賀祥介 撮影:川又昂 音楽:芥川也寸志 昔、軍隊があった頃。松竹喜劇の上質さ。芳太郎さんは、たぶん安二郎の衣鉢を正しく継いだ人。東宝戦記とも東映戦記とも違う、これもまた男のロマン。昭和六年から始まる物語は、時系列通りに丁寧に、兵舎の日常を再現します。一見すると地味~~なカーキ色の陸軍もの...

1966年4月、山下耕作『兄弟仁義』東映京都

こんな小さな盃だけど、男命をかけて呑む。脚本:村尾昭・鈴木則文 撮影:わし尾元也 美術: 音楽:菊池俊輔男の意地。女の夢。嘘は言わない日本の侠客。東映仁侠映画黄金期の充実感。山下耕作36歳の美学。ソフトを入手しにくい隠れた名作になってしまっておりましたが、東映チャンネルさん・日本映画専門チャンネルさんありがとう。ハイビジョンの輝かしい画質がクローズアップの多い現代的な山下話法によくマッチしております...

2017年8月3日、宮本督『これだけは知っておきたい「著作権」の基本と常識』フォレスト出版

オマージュとパクリの境界線は?動画投稿サイトにアップできるもの、できないもの。商用と「非商用」の違いは?タイトルが皮肉に思えるほど、インターネットを活用する若い世代をターゲットに絞り込んでおり、例題がものすごく具体的で、実用度はきわめて高いです。目次からして一問一答形式になっており、まずはそれだけで答えが分かる。もっと詳しく知りたいという気持ちを起こさせる。編集技法の教科書という点でも有益と思われ...

著作権侵害の非親告罪化は、いまさら有罪化という話ではありません。

いままで自由だったものが急に有罪化されたので納得いかな~~い、よい国民のみんなもそう思うでしょ~~という話ではありません。現行法で有罪です。二次創作は、もともと規制されているのです。それを「検問を実施しないでくれ」という話をしている(していた)だけです。そのために「検問を実施すれば、身に覚えのないドライバーまで足止めをくらって仕事に遅れてしまう。大損害だ」といった言い訳をするわけです。創作物に即し...

そもそも、権利とは?

それを尊重してくれる人がいないと成り立たない概念です。女性が「私には基本的人権があるんですよ!」と叫んでも、男性が「俺には関係ねぇよ」と思えば、様々な事件が起きてしまうわけです。すると「私の人権を無視する悪い人がいます!」といって、司法に訴えることになります。その司法が発行する逮捕令状に基づいて、行政(警察)が出動するわけです。その警察が粘り強く勤勉である時、確実に逮捕がなされるので、加害者のほう...

著作権法そのものを否定する権利も、あることはあります。

世の中「確信犯」という言葉もありますが、言ってしまえば国民には「著作権法があること自体がおかしい」と主張する権利もあります。「著作権法なんて法律があるから我々同人は迷惑させられている。著作権法そのものを撤廃して、二次創作を全面自由化すべきだ」と主張する権利もあります。「著作権法があるからといって、逮捕させるほうが悪い。表現の自由の侵害だ」ということも、確かにできます。国民の自由を保障しているのが憲...

あらためて、二次創作弁護。

当方は、二次創作を売ることを生業にしておりませんので、切実な要望として言えることがあるとしたら「私たちはこれからも二次創作を読みたいです」になります。それは原作単行本をコピーしたものではなく、あくまで同人さんが自分で「次はどうするか」と考えて、自分の手で(腱鞘炎になるリスクも背負って)コツコツと描いたものですから、原作とは別個の価値として評価される権利を有すると信じます。同時に、もともと原作のファ...

二次創作弁護について、勘違いしてはいけない点。

前記事の話は「国家が一元管理することではありません」っていうところがいちばん重要なのです。同人を著作権者の横暴から解放してくださいって話ではないのです。基本的に規制されているという点は変わらないのです。それを逮捕させる権利を原作者に留保するか、国家が管理するかという話であって、同人のほうから「私たち金目です」と言えば、尚さら「国家が管理したほうがいい」という結論になる可能性だってあるのです。【ただ...

【事務連絡】カテゴリ分けすることにしました。

シリーズD…DはドージンのD。おもに著作権問題。「同人のほうから威張ることじゃないです」が基調です。シリーズB…BはBLのB。おもにBLの本質論と新宿二丁目方面とのトラブル軽減が目的。シリーズF…FはフェミニズムのF。一部社会学者による誤解・こじつけがBL論・新宿二丁目方面との関係をややこしくしてくれたことに対する批判。恨み節ともいう。シリーズR…Rは「ルサンチマン同人」のR。私の同人誌が売れなくなっ...

そもそも、フェミニストとは?

根本的には、すべての女性がフェミニストです。世界中の女性が「男のほうが威張ってるのが当たり前で、男が女を殴るのが当たり前で、女のほうが賃金が低いのが当たり前。永遠にそういう状態が続けばいい」とは思っていないからです。逆に男性は「それじゃ可哀想だから手加減してやれよ」という人はいても、「それじゃ俺自身が生きていけない」というほど切実ではないわけです。むしろ、どんな大企業でも企業活動の利益は無限大では...

改憲議論に際しては、自分が女性であることを忘れないようにしましょう。

日本の男性議員は、憲法を改訂して、女性の基本的人権を制限してしまうことができます。なぜなら彼らのほうが人数が多いからです。強行採決が可能です。彼らがそれをしないでいるのは、General Head Quarters から与えられたというに等しい日本国憲法を尊重しているからです。また議席も足りないくせに「男だけで決めてしまってはいけません!」と叫ぶ婦人運動の声を聞いているからです。彼らのアキレス腱は戦争で負けたこと。「男...

BLも少女漫画もフェミです。

もし男性議員が数にものを言わせて、女性の定年を30歳に引き下げ、女性の表現の自由を制限し、政治批判も少女漫画も書かせずに「さっさと嫁に行け」と決めてしまった場合、女性は「違憲である」といって司法に訴えることになります。が、その憲法ごと変えてしまえるのが男たちです。実際に、戦前の少女向け雑誌の読者投稿欄は、戦争が激化すると閉鎖されたのです。理由は「そんなもん書いてる暇があったら工場へ行って働け」です。...

プロの自己弁護、フェミの援護射撃、同人の沈黙。

漫画家なら竹宮恵子、小説家なら栗本薫を筆頭に、プロとして出版社からオリジナル作品を刊行する人々は、もし新刊の発禁とか既刊本の回収とか増刷禁止とかいうことになったら、印税を受け取れなくなっちゃいますから、失業を意味します。漫画家がインタビューに答えて「女性の内面」と主張するのは当然ですし、評論家としても腕に覚えの小説家が自己弁護の論陣を張るのも当然ですし、全国のファンが擁護の声を挙げるのも当然ですし...

なぜ、BLがジェンダー論ではいけないのですか?

「BLはジェンダー論っていうよりビジネスなのよ」これを真顔で言って来た人があったんですけれども、研究者なら噴飯ものだろうと思うのです。「ビジネスだからジェンダー論ではない」ことにはならないのです。ビジネスをジェンダー論で読み解くことも可能なのです。っていうか、そもそもジェンダー論とは、そういうものです。「ごく当たり前」と思われている商習慣や言語体系に、いかに無意識的に性差が組み込まれているかを明ら...

なぜ、1990年代にBL論が炎上したのか?

当時の炎上ってのは誌上討論や、解説書が次々と発刊されたということですけれども。まず、1989年に「1.57」という数字が発表されたことが挙げられます。合計特殊出生率の低下がここに窮まったというわけで日本社会が震撼したのです。が、政治家たちは2000年頃になっても「日本人は多すぎるので少子化対策しなくてよい」と思っていたそうです。晩婚化も1975年以来、BLファンに限らず一般的な現象でした。バブル崩壊後は尚さらです...

1990年代の時点で、1980年代の少女は全員成人していました。

短絡的な人どうしで議論すると、実りが少ない。1990年代BL論のグダグダっぷりから得られる教訓です。一例を挙げると、現行の女性キャラクターに感情移入できないからといって、男性キャラクターに感情移入できるとは限りません。男なんか、よけい私に関係ないわと思った時点で終わりです。そのばあい、自分好みの女性キャラクターを創出し、自分に都合のよい物語を創作すればいいだけのことです。「じゃあBLファンがBLに排他...

ゲイ側の要望は、実在被害の再発防止です。

1990年代以来、ゲイコミュニティがストレート社会に向かって要求していることは、実在被害の再発防止です。BLの発禁じゃありません。彼らは「わざわざ店まで来て下品な質問するのはやめてくれ」と言っただけです。だから、そういう被害の再発防止を呼びかければいいのです。ただそれだけのことを、なぜ誰も理解できなかったのか。なぜ今なお社会学者が現実の社会で生じている社会問題を無視するのか?「ちょっとからかっただけだ...

新宿二丁目は東京都の行政区ですから。

憲法によって自由が保障されているからといって、他人を傷つける人がいるなら、その自由を制限するのが法律です。他人をサツガイする自由は法律で制限されています。他人のものを盗む自由も法律で制限されています。だったら、ヘイトスピーチとセクハラを禁止する法律も作ればいいです。漫画を読むことを禁止する法律じゃありません。論点をすり替えてはいけません。冷静に考えてみると、実在のお店に顔を出す女性というのは、全国...

同性愛者を、ほっといてあげるために。

当方の同人・BL論の目的の一つは、実在被害の防止です。ストレートさんの中には、同性愛者の心理や事情まで説明すると、「同性愛は個人の自由だから、ほっといてやればいいのに」とおっしゃる方もあります。残念ながら、ほうっておいたら勘違いするストレート女性が増えてしまったので「同人・BLファンの中からはそういう人を出さない約束です」と苦言を呈するものです。むしろ「同性愛者をほっといてあげましょう」というのが...

LGBTは、リア充です。

ストレートのほうで「彼(女)らは結婚できない」という頭があるもんですから、勘違いしてしまいやすいのですが、LGBTは、リア充です。決まったお相手と何十年も同居して、家事を分担し、いたわり合って、配偶者同然に暮らしています。愛する人のために料理も覚えるし、オシャレもしますし、犬猫の世話も責任持って、充分にしています。彼(女)らには、誰とも同居したくないし、誰のためにも努力したくないストレート男女の気...

同人・BLは、もともとアンダーグラウンドですから。

ここらで一つ疑問が浮かぶかと思われますが、同人・BLが社会問題を引き起こしているなら「やめちゃえばいいじゃん?」けれども、もともとアンダーグラウンドなので、規制しても、またどっかから現れるのです。それがまたクチコミで広まる間に同じ問題がくりかえされるよりは、問題の本質を明らかにしてしまい、注意深く運用するというほうが実際的な解決策だと信じるものです。例えていうと「飲んだら乗るな」「適度な娯楽です」...

鳩のはばたきの下で。~自称性的マイノリティの恐怖

それは、平和の鳩が飛んでるSNSでの出来事。「母親がトラウマになっているので精神的な成長が口唇愛期で停止しているアダルトチルドレンだから異性に噛みつくことが愛情表現になっている」と称して、傷害罪を自慢している中年女性アカウントがあったのです。もう、その時点で「トラウマとはそういうことじゃない」と説教してやってもいいんですが、本人は冗談のつもりですし、周囲もそう思っているぶんには、文字上のことなので...

個人の特定は無用です。

時々登場する「もと同人」さんの話題は、かなり具体的な被害報告ですが、加害アカウントを特定する必要はないです。なぜなら、本人が「自分の周囲にいたのは自分とおなじように個人的に出展している同人だけだった」と証言する以上(するんですよ)、おなじように勘違いしたまま出展して、おなじようにバブル崩壊に巻き込まれ、おなじように社会に恨みをいだいて、優越感を取り戻す機会を狙っている「もと同人」が一定数存在する可...

ゲイと弱者の連帯する前に、しておくべきこと。

ノンセクシュアルならノンセクシュアルでいいです。フェミニストならフェミニストでいいです。ゲイに向かって「連帯しましょう」とか「カミングアウトしなさいよ」とか言う前に、しておくべきことがあります。全国ノンセクシュアルの大同団結を達成し、「自分は一生結婚したくないが同性婚を支援する」旨の宣言文と、百万人署名を、LGBTパレード事務局に、パーンと提出するのです。そのくらいでなければ、ゲイコミュニティとし...

1971年3月、ルキノ・ヴィスコンティ『ベニスに死す』

胸の痛みを主演と共有するので自分も絶え入りそうになります。心臓に悪うございますから、お覚悟あそばして。主人公に音楽家という設定を与え、主題曲に存在意義を与えて、映画全体に挫折した芸術家の再起と永遠を描く伝記性を持たせた構成アイディアと、奇跡の出会いを主人公視点で再現するカメラワークの見事さによって、ヴィスコンティ映画数ある中でも白眉中の白眉かと思われます。主演のボガードは、顔立ちからいってもそんな...

1974年1月、山本薩夫『華麗なる一族』芸苑社・東宝

あなたに抱かれても、心が温まるわけじゃないわ。原作:山崎豊子(新潮社版) 脚本:山田信夫 撮影:岡崎宏三 美術:横尾嘉良・大村武 録音:原島俊男 照明:下村一夫 音楽:佐藤勝 編集:鍋島惇 特撮:日本現代企画男同士の契りの盃にも、いろいろございます。日本男児たるもの、反乱の際にも古風な美学を大切に致しましょう。伸び行く工業力。って、1960年代初頭の小津映画を拝見した時に申したような気がしますが、ここ...