たぶん筋金入りの二次創作BL小説同人。

商業誌といえば、1980年代の『花とゆめ』と『WINGS』の話しか出てこない。

しかも一世を風靡したというべき川原泉や日渡早紀に思い入れがない。和田慎二や魔夜峰央の初期作品などマニアックな話ができるわけでもない。

「もともと少女漫画家になりたかった」というわりに、池田理代子・美内すずえ・いがらしゆみこ・里中満智子などの少女漫画の話題も出てこない。

『あさりちゃん』などの女児向け漫画も出てこない。魔女っ子アニメの真似をして遊んだというでもない。宮崎駿なら『カリ城』以来ぜんぶ観たというでもない。『ヤマト』『ガンダム』などにも普通のアニメファンとしての思い入れがない。

二十四年組も読んだことがないようで、読んだ人なら誰でも知っている話題について来ることができない。竹宮恵子が少年漫画として『地球へ…』を連載していたことも知らない。

その師匠筋である手塚・石ノ森・水野英子の名前も出てこない。藤子不二雄に詳しいわけでもない。山上たつひこ・つげ義春・日野日出志・つのだじろうは言うに及ばずというべきか。

そうかといって車田正美・新谷かおる・聖 悠紀などの少年漫画を読んでいた様子でもない。

かろうじて出てきたのは「がゆん」だけ。(高河ゆんを示す同人界の符牒らしい)

これは……あれですよ。

親御さんの方針で漫画を読ませてもらえなかったのです。

それが中学生になって「ともだちのお姉さんのともだち」といった経緯で年上の人から二次創作BL同人誌を入手してしまうと、そこでリビドー固着が起こることがあり得ます。

古い時代の二次創作は、栗本薫などと混同されていたことが示しているように、小説が主流だったので、漫画に関心のない・禁止されていた人も、文学の一種として抵抗なく読んでしまったということが起こり得たのです。

これは再生産も容易です。漫画制作であれば、パソコンがなかった時代には本当にインクと墨汁を用いて部屋中に原稿用紙を広げて乾かしながら描き進めたものです。それは厳しい保護者の眼をかいくぐって可能なことではありません。

が、原稿用紙かワードプロセッサ専用機に向かって文章を書くことは、中高生のうちから学業の片手間に可能です。当然ながら、想像をたくましゅうすることになります。

すると、漫画そのものには関心がない。そのアニメ化にも関心がない。声優ファン・演劇ファン・音楽ファン・スポーツファンとなって話題が広がって行くこともない。

純粋培養の二次創作BL小説同人。

それは「ノンセク」というよりも、やっぱり自分をトランスゲイだと思い込んじゃったタイプなのです。男性と交際して想像を実現したいけれども自分の肉体が女性なのが残念だ、という。

なまじお堅い家庭に起きる悲喜劇の一つです。

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