BLは女性キャラクターの代替品では説明がつかないので、まず落ち着きましょう。

女性キャラクターに感情移入できないからといって、男性キャラクターに感情移入できるとはかぎりません。

すでに多くの言説や画像によって明らかなように、BL最大の特徴は(ゲイ漫画に較べて)登場人物がひじょうに女性的に描写されていることですね。

それを見た女性が「いまどきの小娘には感情移入できないけど、男じゃなおさら感情移入できないわ」または「小娘よりも女らしい男なんてきもち悪いわ」と思えば、どちらも読まないだけのことです。

ブドウ糖のような必須栄養素ではないので、無理して代替品を求める必要はないのです。きもち悪いものを買うために、無理して炎天下に行列して、せっかくのお給料を差し出す必要はないのです。なにも読まずにスイーツ食ったり旅行に行ったりしたほうがましです。

話が行き詰まってしまいましたね。そういう時は、発想を逆転させればいいのです。

男性が女らしいことに独自の価値を見出して、カネを支払ってもいいと思う女性がいるのです。

それは最初から、先行する創作物によって与えられた「前近代的男性社会では実際に一部の男性が女役を強制されることがあった」という知識と、男性中心社会の中で洗練されて来た女性らしさという、二重のステレオタイプ利用による、ジョークです。

ジョークのつもりで始めたものが、いい話になってしまったというのは、一般的な映画やアニメでも起こることです。

よりジョークらしさを追求して、どんどん下品なギャグが増えてしまったということもあり得ます。

一人の創作家が、両方の話を書くこともできます。

読むほうも「女性キャラクターに感情移入できる人が、女役の男の話も読める」ということは充分にあり得ます。

なぜなら、「女性キャラクターに感情移入できる人は、女役の男の話が読めない」とか「読んではいけない」という二者択一性・排他性は、設定されていないからです。

創作物には、そのようなルールはありません。創作ファン同士が国境紛争ごっこする必要はありません。創作物の選択にルールを設定できると思う人は、自分自身の権力意識に酔っていると言えるでしょう。

そして、こっから先が重要です。

BLは、男性中心社会によってイジメられた女性が、きもち悪いのをがまんして、無理して食っている代替品ではなく、みずからの意志で選び取った、女性本来のナルシシズムと男性への好奇心の両方を一度に満足させてくれる、魅力的な商品です。

それを好むこと・買うこと・自分で描くことは、あなた自身の権利ですが、実在の同性愛者に対して、いやがらせする資格を得たことにはなりません。

あなたは、それを自分の勝手で、自分の好きで読んだり描いたりしているのであって、ゲイよりえらくなったわけではないのです。また、ゲイから同情してもらい、可哀想がってもらえることでもないのです。


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