ゲイ漫画とBLも、よきライバルです。

まず、1980年代も十年間あったわけでございまして、1981年に流行していた「ジャンル」と1989年に流行していたものでは違います。

とくに1983年に特定ジャンルの大流行があって、それを境に出展者の顔ぶれも好まれる作風も(少し)変わったと言えるでしょう。

いまとなっては、これ以後に参加した人のほうが多いわけで、それ以前を証言できる人は(出て来たがらないということもあって)少ないです。

1985年頃から、ゲイの世界では田亀源五郎が活躍を始めて、日本のゲイ・アートシーン全体が大きく舵を切りました。

より正確にいうと、イラストとしてのハードコア好みは昔からあったんですが、映画好きで読書家の田亀がストーリー漫画の名手だったので、表面化したのです。

彼の作品は、私見と致しましては、女流に対する見事な切り返しです。漫画家としては遥かに先輩である竹宮恵子が「女性と少年を差し替えた」といったなら、田亀は「少年といい男を差し替えた」のです。

つまり、女流に向かって「描くな」と言わずに、自分で描いたのです。

女性同人の世界では、1986年にまた特定ジャンルの大流行があって、これ以後、過激化の一途を辿ったように思います。女性同人だけが変なテンションだったわけではなくて、1980年代後半の日本社会・文化全体の風潮といえるでしょう。

貿易黒字を背景に、海外文化の紹介が相次いだことも確実に影響しています。

この時期プロ作品としてのBLは、前時代の耽美派に対して社会派路線を取っていたので、またその反動として同人誌が諧謔性を強めたともいえます。

もとより同人は、明治の昔から創作界の青田にして裾野であり、つねに目新しいものに挑戦し続けるバトルロイヤルです。昭和後半に急成長した新カテゴリであるゲイ漫画とBLも、どちらが元祖か本家かというよりも、相互に影響を与え合ったといったほうが実情を正しく示しているかと思います。

女流プロ漫画が戦前の男性文学に負っていることは明らかですが、その後の成長は相互交流の成果であって、喧嘩するところではないと信じます。

ニッチな分野に言及するブログをお驚きになる方も多いことと存じますが、当方の願いは相互差別の解消と、みずかけ論によるSNS炎上などのトラブル軽減です。ご理解・ご協力を賜りますれば幸いです。


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