漫画家になる奴は、10歳から描いてます。

Misha

本稿の主旨:同人なめてはいけません

漫画家になる子というのは、小学生の内から「描き方が分からない。教えてくれる人がいない」とか言ってないで、自分で歩いて用紙を買ってきて、雑誌や単行本の真似して枠線を引いて、フキダシを描いて、ドカーンとか効果音も書いて、人物の髪の毛を黒く塗って、それらしく描いちゃってます。

とくに教えられなくても「起承転結」のコツをつかんで、面白い話を描いちゃう子がいるのです。

「うちのおかんがこう言ったら、姉ちゃんがこう言い返したところへ爺ちゃんが来て、こういうオチがついた」という、ふつうの家庭の問題を、短くまとめて他人に伝えることができる。

じつは、漫画というのは、そういうコミュニケーション能力の一つです。

才能というのは、やらせてみないと、あるかどうか分からないので、義務教育では一斉に絵を描かせたり楽器を弾かせたりするのです。すると、あまり教えなくても出来ちゃう子や「下手だからこそ練習する」っていう根性ある子がいて、こいつは見どころあるな、と大人のほうで理解するわけです。

そして良い先生を紹介するとか、奨学金を与えるとかして、才能を伸ばしてやる。

漫画の場合は、学校の先生たちから、あまり良い顔をされて来なかったけれども、それでも漫画家になっちまった奴らというのは、べつに恥ずかしがらずに書店や図書館に行って「漫画の描き方の本はありますか」と言えちゃった奴らだし、おかんに見つかっても平気で雑誌に投稿しちゃった奴らです。

彼(女)らが室内に閉じこもっているのを笑いものにして、オートバイを乗り回していた子や夜遊びしていた子は、漫画家にはなりません。オートバイの店を自分で開いたり、ダンスの先生になったりして、自分なりに成功することはあるでしょうが、漫画家にはなりません。

受験勉強するほうが、むしろ楽だと思った子も大勢います。それは心のどっかで「自分には特殊な才能がなくて、資格試験に合格することがいちばん得意だ」と分かっているのです。

それは「座学のプロ」ってことですから、そこで頑張ってる奴は、やっぱりカッコいいのです。

で、同人という連中は、まがりなりにも、描くことが得意な奴らです。最近は作曲が得意な奴やプログラミングが得意な奴も多いです。多いけれども、世代全体から見ると少ないです。だから「みんなやってる(私もやらないとイケてないと思われる)」などと思わなくていいです。

とくに最近では、出展者も四十年分です。

すごく単純に、一回のイベントに出展するサークル総数を約2万として、40で割ると、1年に500人です。あなたと同じ年に生まれた200万人または100万人の中で500人だけが出展してます。その中の1人だけがプロになります。そう考えればいいです。

試しに、全国四十七都道府県の各々に20の市があるとしましょう。各々の市に公立私立合わせて10の高校があるとします。とすると、一つの県には200の高校があります。かけることの47ですから、日本全国に9400校。

今では中卒の人がひじょうに少ないですから、500人の同人は、9400の高校のどれかの出身者です。つまり、高校によっては「俺の同級生の中には出展者がいない」ということもある。むしろ、そういう高校のほうが多いわけです。

その少ない連中が、だいたい3年くらいで「やってみたが、あまり売れなかった」という交替をくり返していると思えばいいです。一般参加者として祭りに参加するぶんには楽しいですが、出展側にまわると、本当にハードです。

同人なめてはいけません。

「資格試験や公務員試験に失敗しても、漫画でも描けばなんとかなる」とか思ってしまうと、親を泣かせることになります。昔の同人の先輩は、本当にそう言って若い子を止めたのです。

それは自分のライバルを増やさないためでもありますが、多くの場合、本当に挫折する人のほうが多いのです。

「よく売れた」などと言っちゃう中年は武勇伝したいだけで、あなたのことを考えてくれているのではありません。


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Posted byMisha