杉田水脈議員による「生産性」発言が、一般社会に投げかけたこと。

LGBTの生産性発言については「子どもがいる人なのに他人を差別するなんて」という批判の声がありました。もし自分の子どもが差別されたらどんな気持ちになるのか分からないのか、という意味ですね。

が、子どもがいるからこそ「国家予算を育児家庭に回してくれ」という話なのです。

杉田議員の言い分は「私たちシス・ストレート女性がワンオペ育児しながら社会進出する苦労に比べれば、宗教や法律によって同性愛が禁止されているわけでもない日本のLGBTの苦労なんて、たいしたことないじゃん」ってことなのです。

あなたは「うちが受け取る児童手当を削減してくれていいから、私のパート労働よりも時給のいい男同士のダブルインカムから徴収する税金を控除してやってちょうだい」と言えますか?

「俺が受ける介護サービスのランクを落としてくれていいから(以下同文)」と言えますか? 

こうなると「冗談じゃない!」と言う人も多くなって来ることでしょう。

差別した・されたという対立の構図が生じた時は、弱そうなほうに味方して、正義のヒーロー気分に浸りたくなるものですが、多方面から検討すると、自分にとっても利害関係のない話ではないことが分かって来るのです。

じゃあ、どうすればいいのか? 児童手当ても介護サービスも減らさずに同性指向者同士の同居家庭から徴収する税金に配偶者控除を認めるためには?

他の政治家に向かって「行政改革しろ!」と叫べば責任転嫁できるかもしれません。けれども、民間企業がそれにならって「リコンストラクション」したら、整理されるのは、あなたかもしれません。

杉田発言を一つだけ評価できるとしたら、LGBTの存在そのものを黙殺するという従来の国会議員の姿勢とは違うことです。存在を真正面から認めたからこそ「パイの分け前」の争奪戦の相手として視野に入れたのです。

意外なようですが、一見すると上から目線で差別したようでありながら、じつは水平視点で宣戦布告したわけです。

じゃあ、女同士のダブルインカムの場合はどうかっていうと、よほど才能のある芸術家や総合職を除いて、確実に男同士より少ないということができます。またトランスジェンダーの場合は継続的な医療支援が必要で、自己負担額を(いま以上に)減らしてほしいという要望が、必ず提出されるでしょう。

バイの場合は「異性と結婚していた頃よりも、離婚して同性と結婚してからのほうが手取りが減った」というのは、なんだかなぁってなるでしょう。

そして、杉田発言が「不適切」として完全否定されるということは、LGBTも配偶者控除や扶養認定の対象になるということです。

そうなると、彼(女)らも同居人の有無と所得額によって階層化されて行くことになります。そこからの人権運動は、利害の違いによる内部対立を深刻化させることになるでしょう。

そして、自称「ノンセク」のあなたは「私は一生独身で、何の控除も受けられませんが、ゲイカップルの配偶者控除と扶養認定を支援します!」と言えますか?

もはや、性的好奇心のみを基準に「男を愛する男の気持ちが分かる」と言える時代ではないのです。

ここまで考えた上で「支援」と言えれば、あなたは本物の「アライ」です。



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