【来年へ向けて:オリジナルの時代が来るのかもしれません。】


クラシック音楽業界は、レコード会社を通さず、個人的にプロモーションビデオをyoutubeなどで公開し、mp3ダウンロード販売やコンサートへ客を誘導するということをやっています。

レコード会社が仕掛人となって新人指揮者をアイドルのように売り出すという手法は、すっかり廃れちゃったらしいです。

過去の名録音も、いずれは著作権が切れるので、レコード業界は、何かもう本当に天才的な若者によるイノベーションを待つ他ないのかもしれません。


【二次は背水。】

マンガ系コンテンツ(マンガ的なイラストを利用したコンテンツ)も、ニコニコ動画などからオリジナル作品のヒットが生まれていることは今さら言うまでもないでしょう。

初音ミクは、もともとPCソフトに過ぎません。それを使って自由に作曲して良いよ、というのは「マンガの技法そのものはフリーだから、自由に描いて良いよ」というのと同じです。

ヴォーカロイドを使って演奏するものは既成曲ばかりではありません。初心者の取っ掛かりとして、好きなアーティストの曲を自分なりにアレンジ(多声部化とか)してみたというのは、良い修行になるでしょうが、やがてはオリジナル曲の発表に向かうものでしょう。

だから、動画・音楽・ゲーム系の人から「マンガの奴らは二次しか書けねーの?」という揶揄・突っ込みがあるのだろうと思います。

それに対して「一次だって上手いんですよ!」と言ってしまう人もいますが、これは「さっさとオリジナルデビューすれば良いはずの人が、意図的に他人の権利を無視している」という意味になるので逆効果です。


【アニメ二次創作の時代。】

二次創作がテレビオリジナルアニメを基にしている間は、出版社は関係ありません。

それは、本当にアニメファンによる即売会限定のジョークであり、アニメ人気を盛り上げるものでした。ビデオデッキの普及していなかった時代には、オンタイムの視聴率を上げることにも一役買ったでしょう。

紙に印刷した「マンガ」というものが最も輝いた瞬間というのは、力石徹のお葬式が社会現象として注目されたとき、次が『ベルばら』の大ヒットの頃だったでしょう。宝塚化は1974年です。同じ年にアニメ『宇宙戦艦ヤマト』が放映されました。

コミックマーケットは1975年に始まって、当初はオリジナルマンガの振興を目ざしたらしいのですが、やや「後だし」感があったかもしれません。

「学生運動のバリケードの中で少年ジャンプが読まれた」という話から考えると、テレビアニメというのは何なのか。

「もはや危険なデモや内ゲバに関わらず、家(下宿)に帰ってテレビ(ビデオ)を見る、やや裕福で、クレバーな新世代」ってことだったんじゃないでしょうか。

コミケという催事においても、マンガよりも新しい・最新流行だと思われた「カラーアニメ」というものの関連グッズのほうが人目を引いて、売上を伸ばしたわけですが、これは時代の流れであり、結果に過ぎません。

同人誌即売会は、即売会ですから、何かを売るところには違いないのですが、ガリ版刷り・ゼロックスコピー誌でボロもうけを狙ったというわけもありません。ワープロがない時代の清書は手書きです。多くの人が「こつこつ」とやっていました。

後の時代の賑わいぶりを見て「みんなうまくやっている。私も流行に乗らなくちゃ」と思うのは自由ですが、最初から金目というのは勘違いです。

同人活動に反感を持つ人ほど「なぜ二次創作が存在するんですか」という質問に対して「売れるから」と答えます。「それ言っちゃおしまい」であることを知っているからです。


【規制よりも致命的。】

でも、じつは二次創作を衰退させるのは、規制の強化ではありません。規制には「反対し続ける」ことが可能で、かえって状況を好転させることもできるからです。

本当に困るのは、テレビアニメからスポンサーが降りることです。

TPP・黒バス事件・「アニメ関連業」関連の騒動がなかったとしても、決定的な少子化と泥沼な円安によって、玩具業界などが音を上げるでしょう。

玩具は原料を輸入して、国内で売る他ないのだから、もうどうにもなりません。

ゲーム業界は大手が訴えられたことによって気を引き締めたはずで、「これからは当社も著作権に関して、ゆるい感じで行きますよ~~♪」というところはないでしょう。

原作をかかえる出版社自身による一社提供という手もありますが、出版業そのものが斜陽ですから、先行き不安です。

枠線を引いてマンガを描く人の減少はもちろん、タブレットの時代なので、キーボードを連打して長編小説・エッセイなどを挙げる人さえ減ってくるんじゃないかという恐れもあります。


【オリジナルの採用、名作の再利用。】

オリジナル作品は、ネットを使えば単発発表もできますし、元手がかかりません。オンデマンド印刷も可能です。装丁の豪華化は、予約を確保することによって可能で、印刷所も喜ぶでしょう。

何人かの作家が合同すれば「厚い本」もできます。昔は本当に複数会員をかかえる「サークル」でした。1980年代後半から顕著に個人化しましたが、ルームシェアの時代なので、自費出版シェアも悪くないかもしれません。

評判を呼べば新しいブームとなり、一般企業がアニメ化・グッズ化を申し出てくれるかもしれません。

もし若い女性がアニメ人気を支えているものなら、化粧品会社・食品会社などがアニメ事業部を立ち上げたって悪いことはありません。

誰も「同人誌ではボーイズラブ以外描いちゃダメ」なんて言っていません。オリジナルレディコミをアニメ化(できる範囲で)したって悪いことはありません。

当たり前ですが、オリジナル活動が盛んになると、レコード業界に起きたのと同じことが出版社に起こります。

じつは、二次創作というのは「同人ビッグバン」的なものを防ぐ役割を果たしているのです。

これをもって、出版界に恩を売っているような気分になる二次同人もいるようですが、本末転倒しています。

いずれにしても「紙のマンガ」は売れなくなります。子供たちは、ニンテンドーとスマホを手放しません。

マンガはどう見ても単価が低いので、数が出なくなれば不採算でしょう。出版社がマンガ事業を整理すれば、それを原作とするアニメも生まれなくなりますが、もしかしたら海外が事業部ごと買ってくれるかもしれません。

なお、著作権保護をどんなに延長しても「千年」ってことはありません。古い作品が順に期限切れとなるので、二次創作は過去の名作を利用することも可能です。

これは、過去の名作そのものの再販を呼ぶので、出版社にとっても悪い話ではないでしょう。原作ファンと折り合いをつけられれば。



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